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シングルマザー卒業と独りよがり小説

おまけ小説

投稿日: 2024年11月10日


――それで、それから、言い訳――


 もう卒業していますが、これはこれで良かったと感じています。一応、娘なりに感謝はしてくれていますし、親も学校へ行くたびにキレイなトイレでとても行きやすかったです。私立の良いところはトイレの綺麗さだけではないですが。


 その後大学にも進学していますが、正直なところ、公立中高一貫校を選んでいたとしても行けたであろう結果でしたので、親としては複雑な心境です。もっと言えば中学受験なんてしなくてもって感じです。つまり大学受験もゆるゆるだった、むしろ親の関与が無くなる分、余計にそうなっていたかもしれません。


最後に何もかも捨てたと言いましたが、入塾時にもらった大きなファイルは大きすぎて捨てられずにいまだに娘の本棚に収まっています。もちろん中身はカラですが。あと、あのバッグも。今でも見かけると頑張れって心で応援する私の横で、娘は「ああ、かわいそうに」とつぶやきます。


 勉強が嫌いで、しかも勉強しても頭に入っていかないような子供に中学受験なんてさせるつもりはありませんでした。小学校に入学してからも放課後は一人ですし、遊び放題ではありましたが、それでも宿題は一人でやれていたし、勉強も普通についていけていたので、だったら受験勉強も大丈夫だろうと勝手に思っていました。いろんなところで言われていますが、子供を学び好きに育てることが親の役目、というのは本当だと思いました。

 

高い目標をかかげてきて、そこを達成することはできませんでしたが、敗因はやはり親の関りが足りなかったのだとか言われがちだと思います。娘が言うには親が勉強を教えられるならともかく、無理でしょ。と。


 ただ感謝していることは、子供の頃の読み聞かせや、読書する習慣で活字が好きになったこと、塾に入るまでに公文で算数をやっていたおかげで計算も苦にならなかったことでしょうか。

模試会場まで迎えにいったりすると、つい「どうだった」なんて聞いてしまいますが、我が家の場合は出来た出来ないというよりは、国語のテストで出た物語が面白そうだから続きが読みたいとか、作者の言いたいことが違う意味で理解できないとかで国語嫌いとか、どちらかというと文系なのかと思っていましたが、答えがちゃんと出せる算数の方が好きだったり。とはいえ、公文では全く同じプリントを渡されると山済みのプリントの中から前に解いたものを引っ張り出してきて答えを丸写ししたりでしたが(自分なりに時間の無駄と判断していたらしいです)、親は親で、宿題はこれでもかってくらい出して下さいと先生にお願いしたり、とにかく暗記する勉強というよりは、新しい問題ばかり解いていました。

 

答え合わせなんていうものも親はやってあげられませんでしたので自分で答え合わせをして少しずつ頭に記憶されていくという感じでしょうか。だから結局、勉強時間が足りないことが敗因?塾の宿題もあっという間に終わらせてゲーム、という習慣は続いていた気がします。

 


 しかし、ゆるゆるとはいえ多少の修羅場はありました。

塾の無い日に仕事から帰ってゲームしている娘をみると、それはもう親のイライラも頂点に達してしまい、ブチ切れて怒鳴り散らして言ってはいけない言葉も言いました。

こういう時、第三者(父親)がいないと、収集つかないことになります。「あんたなんて知らない!」なんて言っても二人家族ですからどっちに味方がいるからとか、仲裁に入るとかが無く、永遠に対等でした。

何度も中学受験なんてする必要ないんだからやめてしまえと言ったり、本人がもうやめると言ったり。でも不思議と(当然?)そこに関しては二人の意見が同じになることが無かったということで、よし、もうやめよう!なんて二人で意気投合することがなく、結局ずるずると過ごしてしまっていました。


塾の期待には応えられなかった。御三家も落ちたし、渋幕も落ちたので。家での様子を見ていたら落ちて当然な感じではあるのですが、受かるであろうと言われていた(実際は塾も受かるとは思っていなかったのかもしれませんが)ところに落ちたので、最後に挨拶に行った時は少々申し訳ないという気持ちがありました。


 たまたま電車で知り合ってメアド交換したお母さんから「受かった」とメールが来た時、「うちはダメでした」と報告したら、「えええ!」的な反応をされました。

そんな反応をされると、やっぱり親の面接がダメだったのか?なんて思ってしまいます。

試験の前夜にテレビ番組をみて笑っているような子が受かるはずないじゃないですか。前日にまでテレビみていたら落ちます。塾から帰ってきて22時に寝ちゃうような子は落ちます。変に強いメンタルで、根拠のない自信があるような子は落ちます。全部、うちの娘です。それは親のせいですね。


 逆にこれで合格していたら、どんな人間になるか想像するに堪えがたいです。しれっと合格を叩き出せるような天才ならともかく。


 食事は親の重要な役目。特に母親の。そんなことにも時間を費やすことはできませんでした。朝はおにぎり、昼は給食、夜は(といっても塾で食べる)適当に買って食べていた感じです。受験シーズンに風邪こそ引きませんでしたが、親が頑張って栄養バランス考えてても風邪ひくときはひきますし、なんて開き直っていたかもしれません。そんなのんきな親の受験サポートでしたので、結果もこんなものでしょうか。


 就職して人並みの人生でそれ自体には何の不満もありませんが、とにかくお金のかかった子育てでした。中学から高校まで公立だったとしても結局同じだったと思うと、もはや「私ってすごい甲斐性」という自慢しかありません。

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