文庫ブログの館

シングルマザー卒業と独りよがり小説

小説0

投稿日: 2024年12月2日

西洋人て結構老けて見えるはずなのに、調べたら彼の年齢は私と同じだった。メンバーの中でも一番年上で、それで一番子供っぽく見えた。そりゃ日本のアニメなんかが好きなんだから子供か。と返事したら「それは偏見だ」と返ってきた。さすがに日本語を書くことはできないからそこは英語でやりとりした。

 

何故ジョシュアは私に連絡してくるのだろう。来日してはいろんな日本人の女性に会ってきたろうに。出会いの瞬間が珍しかったから印象に残ってしまったのだったら、私のミスだ。でも私も彼と目が合った瞬間、何か感じたことは間違いない。運命なのだろうか。

 

 

 

結局、諦めの悪い外国人に負けてしまい、帰国前に一度会うことにした。もちろんデートなんかではない。メンバーも含めての食事会だ。まあそれでよい。マフラーを返してもらえれば。

 

都内のレストランの個室に行くと、すでに皆さんいてビールを飲んでいた。帰国するだけだから最後の晩餐らしい。そんな席に呼ばれてしまったわけか。

メンバーは四人だった。他の三人、というか四人全員、確か彼女がいるはずだ。そんなに日本人が珍しいのかしらと不思議な感覚のまま、やたら私について聞いてくるジョシュアに適当に返事しつつ、あっという間に二時間くらい経ったようだ。

 

日本人のマネージャーらしき人がそろそろホテルへ戻りましょう、と部屋に入ってきた時には、私もそうだが四人とも半分酔っぱらい状態だった。

 

明日、イギリスに帰るという。名残惜しさを出さないように「お元気で」と言い駅の方へ向かおうとしたのだが、ジョシュアがマフラーとかを返すのでホテルまで来てくれと私を離さない。なんとなく離れがたく思っていた私はついOKしてしまった。

 

もちろんマフラーが欲しかったわけじゃない。向こうもそうだろう。え、本当に?なんで?疑念が大きくなりつつも一緒にホテルへ向かった。その時、他の三人はマネージャーと一緒にさっさと車で行ってしまっていて、私たちは近くだからと歩いていた。いかにも「日本人の女性の扱い方」をレクチャーされてきたかのように、彼は私にまったく触れることもせず、一定の距離を保って話しかけてきた。

 

 

せっかちな私は、早く白黒させたい一心で、

「やっと明日帰って大切な人に会えるね」

と聞いてみた。待ってましたとばかりに、彼はごにょごにょと実は昨日、その彼女に別れを告げたんだというようなことを言ってのけた。

 

「は?」

だから?今夜いわゆるワンナイトなんとかに付き合えとでもいうのだろうか。別れる必要ないよね。まったく、外国人というやつは。真面目なのかそうでないのかわからない。いや人種は関係ないのか。その人の問題だ。

 

だが残念ながら私は傷つくのが嫌いだ。そう、だから真剣交際なんてありえないのだ。そんなことどうでもいい話だ。酔っていたことを言い訳にすればいい。それに一度くらい外国人と付き合うのも良い経験かもしれない。私は彼のことが嫌いじゃないしむしろ好きだ。なんの問題もない。

そんなことを瞬時に考えた私は普通にというか当然のようにふるまって、彼の部屋までついていった。

4 5